出勤・退勤の記録方法は、紙のタイムカード、ICカード、クラウド勤怠、指紋認証、そして顔認証と選択肢が増えました。どれが優れているかという話ではなく、費用のかかり方・なりすましの起きやすさ・集計の手間・打刻データの置き場所が方式ごとに違います。この記事では五つの方式をその四点で並べ、顔認証タイムレコーダーが向くケースと、正直に向かないケースを整理します。
五つの打刻方式
紙のタイムカード
タイムレコーダー本体にカードを差し込み、時刻を印字する方式です。本体価格は印字のみの機種で1万円台から3万円台が中心(本体で自動集計まで行う上位機種はさらに上)で、導入のしやすさは五方式で最も高くなります。一方、毎月のカード用紙の補充が続き、月末には打刻された時刻を人が集計することになります。
ICカード・社員証による打刻
ICカードや社員証をリーダーにかざして打刻します。打刻の記録がそのままデータとして残る点が紙との大きな違いです。ただし集計まで自動で行えるかは機種によります。集計ソフトを含んだ一体型もあれば、本体はデータを溜めるだけで、集計にはPC側のソフトが別途必要になる機種もあります。運用面では、カードの発行・貸与・紛失時の再発行が管理業務として残ります。
クラウド勤怠サービス
スマートフォンやPCから打刻し、記録は提供事業者のサーバーに保存されます。集計・給与ソフトへの連携・多拠点や在宅勤務への対応といった点では最も柔軟です。費用は従業員1人あたりの月額制が一般的で、人数と利用年数に比例して積み上がります。
指紋認証
センサーに指を押し当てて打刻します。顔認証と同じく持ち物が不要で、貸し借りができない生体認証です。機器が安く、価格比較サイトの実売では約5,000円から3万円台が中心です。一方で、認証が指の表面の状態に左右されるという固有の弱点があります。手荒れ・乾燥・濡れ・むくみ、水仕事や粉塵の多い現場では読み取りに失敗し、やり直しが発生します。手袋も外す必要があります。出勤時刻が集中する職場では、この読み取り失敗が入口の行列に直結します。また導入時は、従業員全員が一度は自分の指をセンサーに当てて登録する必要があります。指紋は写真やデータから登録できないためで、多くの機種では本体に1名ずつ登録します。人数が多い場合や、シフトで全員が揃わない職場では、この登録作業の段取り自体が手間になります。手荒れや乾燥が強い方の場合、登録の時点で読み取れないこともあります。
顔認証タイムレコーダー
端末の画面で打刻区分を選び、続けて顔をかざして打刻します。顔をかざしてから記録されるまでは約0.3秒で、認証の待ち時間はほとんどありません。持ち物としてのカードやスマートフォンは不要なので、カードを探す・取り出すといった動作も、忘れた日に手書きで記録して後から直す手間も生じません。貸し借りができないため代打刻が起きにくいこと、そして月額費用がかからないことが特徴です。登録についても、端末で1名ずつ顔を撮る方法のほかに、手元の顔写真を取り込んで登録する方法に対応しています(社内LAN上のパソコンから1名ずつ、または名簿と顔写真をまとめて取り込む一括登録)。全員を端末の前に並ばせなくても登録を進められる点は、指紋認証との実務上の違いです。当社の製品では打刻データは端末内と社内LANで扱い、外部のサーバーには置きません(例外は第5章に記載します)。
費用のかかり方が違う
五方式は「初期費用が軽く、ランニングが続く」ものと「初期費用がまとまってかかり、その後の月額がない」ものに分かれます。総額の比較には利用年数と人数の前提が要ります。
- 紙のタイムカード:本体は安価ですが、カード用紙代とインクリボン代、そして毎月の集計工数が続きます。工数は請求書には現れないため、見落とされやすい費用です。
- ICカード:本体とリーダーに加え、カードの発行費と再発行費が人数の増減に応じて発生します。カード1枚あたりの費用はカードの方式によって数百円程度が目安です。なお本体価格は、PCに接続して使う簡易な機種と、集計ソフトまで含んだ一体型とで開きが大きく、一体型では10万円を超える製品もあります。
- クラウド勤怠:初期費用を抑えられる代わりに、1人あたりの月額が在籍人数の分だけ毎月かかります。各社が公開している料金プランを見ると、1人あたり月額300〜500円程度が一つの目安で、人数が増えるほど単価が下がる段階制を採る事業者が多くあります。仮に1人あたり月額400円・30人で試算すると年間144,000円、5年で720,000円という桁になります(金額はサービスと契約プランにより異なるため、あくまで計算例です)。
- 指紋認証:端末代のみで月額はかかりません。五方式のなかで初期費用が最も軽い生体認証で、実売はおおむね5,000円前後〜3万円台です。ただし読み取りに失敗しやすい従業員が一定数いる場合、別の打刻手段を併用することになり、その分の手間が費用の外側で残ります。
- 顔認証タイムレコーダー(当社製品):端末代が初期にかかり、月額費用はかかりません。人数が増えても費用は変わらず、登録可能人数は最大20,000人です。打刻場所の数だけ端末が必要になる点が、費用が増える唯一の要因です。
したがって、人数が多いほど、また使う年数が長いほど、月額のない方式が有利になります。逆に、数名規模で短期間の利用であれば、月額制のほうが総額は小さくなります。
なりすまし・代打刻の起きやすさ
打刻方式の違いが最もはっきり出るのがここです。
| 方式 | 打刻に必要なもの | 他人による打刻 |
|---|---|---|
| 紙のタイムカード | 本人のカード | カードを預ければ可能 |
| ICカード | 本人のカード・社員証 | カードを預ければ可能 |
| クラウド勤怠 | 本人のID・端末 | ID共有により可能(位置情報等で抑止する製品もあります) |
| 指紋認証 | 本人の指 | 貸し借りができません |
| 顔認証 | 本人の顔 | 貸し借りができません |
紙・ICカード・IDのいずれも「持ち物や情報を渡せば他人が打刻できる」構造を持っています。生体認証(指紋・顔)は本人が端末の前に立つ以外に打刻する手段がないため、この点だけは仕組みとして解決されます。当社製品はお面による打刻を拒否する生体検知にも対応しています。
代打刻の観点では指紋と顔に優劣はありません。両者の違いは「認証が通りやすいかどうか」に出ます。指紋は指の状態に左右され、手袋を外す必要があります。顔認証は打刻区分を選ぶために画面には触れますが、認証そのものは非接触で、手荒れ・乾燥・手袋の影響を受けません。
持ち物が不要ということは、カードを忘れた・紛失したという日常的な問い合わせと、再発行の作業がなくなるということでもあります。
集計の手間と、給与計算へのつなぎ方
集計そのものは端末内で自動的に行われます。一方でその先の外部連携は当社製品が最も制約を持つ項目なので、先に明記します。
当社の顔認証タイムレコーダーでできること・できないこと
- できること:打刻データの保存も、月次の集計も、端末の中で行います。この2つを端末が備えているため、従業員別・月別のExcel帳票をそのまま書き出せます。書き出しは、同一LAN内のPCのブラウザからWeb管理画面にアクセスする方法と、USBメモリを使う方法の2通りです。帳票には日ごとの出退勤時刻に加えて、従業員ごとの出勤時間・残業時間・合計時間が月単位で集計された状態で並びます。集計用のソフトを入れたパソコンを別に用意する必要はなく、紙のような手作業の集計も発生しません。
- できないこと:外部の勤怠システム・給与ソフトとのAPI連携やリアルタイム連携はありません。CSV形式での出力にも対応していません。データの取り出しはExcel帳票の手動エクスポートが基本です。出力したExcelを給与ソフトの取り込み形式に手作業で整えて使うことはできますが、その作業は毎月発生します。また帳票の残業時間は合計値のみで、深夜・休日などの割増計算に必要な内訳には分かれていません。
- できないこと:Web管理画面は同一LAN内からのみアクセスできます。外出先や自宅からの遠隔ログインはできません。
- 導入時に必要なこと:運用を始める前に、従業員の顔写真を登録します。人数が多い場合はWeb管理画面から一括登録でき、必要な項目は名前・登録番号・登録写真・所属の4つです(顔写真はZIPにまとめてアップロードします)。カードの発行作業に相当するのがこの初期登録で、これは最初の一度だけです。
よくいただくご質問に「クラウド勤怠は今のまま使い、打刻の端末だけ顔認証に置き換えられないか」というものがあります。当社製品は外部サービスとデータをやり取りする仕組みを持たないため、この組み合わせは成立しません。打刻から集計までを当社の端末で完結させるか、クラウド勤怠を使い続けるかのどちらかになります。
毎月の給与計算を給与ソフトへ自動で流し込みたい、複数拠点の勤怠を本社からリアルタイムに見たい、在宅勤務者の打刻も同じ仕組みで扱いたい——こうした要件が中心にある場合は、クラウド勤怠サービスのほうが適しています。当社製品は、出社して打刻する現場を対象に、月額費用と代打刻の問題を解決するための機器です。
なお、打刻場所が複数ある場合は、同一LAN内でデバイスグループを構成し、親機1台+子機で最大5台まで打刻データを親機に集約できます(対応機種はメモリ3GB版の5機種に限られ、この機能は初期設定時にのみ有効化できます。詳しくは機種の選び方をご覧ください)。
打刻データがどこに置かれるか
勤怠データには、従業員の氏名・勤務時間という個人情報が含まれます。顔認証の場合はさらに顔写真が加わるため、保存場所を導入前に確認しておく必要があります。
- ICカード・指紋認証:製品によって分かれます。PCに接続する機種や集計まで行う一体型の機種は、機器内または社内のPCに保存されます。一方、クラウド勤怠サービスの打刻端末として使う機種では、下記のクラウド勤怠と同じく事業者のサーバーに保存されます。
- クラウド勤怠:データは提供事業者のサーバーに保存されます。可用性やバックアップは事業者側に任せられる一方、社外にデータが出ることになるため、社内規程や情報システム部門の確認が必要になる場合があります。
- 当社の顔認証タイムレコーダー:顔情報と打刻データは端末内で処理・保存され、管理は同一LAN内のWeb管理画面で完結します。当社のサーバーに送信・保管されることはありません。
例外として外部サーバーを使う機能があります
- 勤務レポートを定期的にメール配信するオプション機能は、打刻データを外部のサーバーに送信して帳票を作成する仕組みです。この機能を使わなければ、データが社外に出ることはありません。
- 情報システム部門との確認が必要な案件では、この点を含めて個別にご説明します。よくある質問もあわせてご確認ください。
いずれの方式を選ぶ場合でも、顔写真や勤怠データの利用目的を社内で説明し、従業員の理解を得たうえで運用を始めることをおすすめします。
置き場所と、書類の保管スペース
打刻の仕組みが職場のどれだけの場所を占めるかも、導入前に確認しておきたい点です。この点でもっとも有利なのはクラウド勤怠です。各自のスマートフォンやパソコンから打刻するため、設置スペースは原則として要りません(共用の打刻端末を1台置く運用にする場合は、その分の場所が必要です)。
ICカード・指紋認証・顔認証は、いずれも打刻用の端末を1台置くという点で大きな差はありません。当社の顔認証タイムレコーダーには壁掛け型と据え置き型があり、壁掛け型なら壁面だけで済み、据え置き型は受付カウンターなどの台の上に置きます。この3方式はいずれも、従業員が増えても端末が占める場所が人数に応じて増えることはありません。
差がはっきり出るのは紙のタイムカードです。本体のほかに、在籍者のカードを差しておくタイムカードラックが要ります。ラックは収容人数ごとに大きさが決まっているため、人数が増えれば大きいものに買い替えるか、複数台を並べることになります。
さらに、打刻済みのカードを何年も保管し続ける必要があります。労働基準法第109条は、賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存期間を5年(当分の間は経過措置により3年)と定めており、タイムカードもこれに含まれるものとして扱われています。仮に30人の職場で1人あたり月1枚とすると年間360枚、3年で1,000枚を超える紙が、いつでも取り出せる形でキャビネットに残り続けることになります。
ICカード・クラウド勤怠・指紋認証・顔認証は記録が電子データとして残るため、年数が積み上がっても保管場所は増えません。当社製品では打刻データを端末内に保存し、必要なときにExcel帳票として書き出せます。年々かさばっていく保管スペースを見込んでおく必要があるのは、五方式のなかで紙のタイムカードだけです。
法令面での位置づけ
厚生労働省の「労働時間の適正把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)では、始業・終業時刻の確認と記録の原則として、使用者による現認のほか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とすることが示されています。
顔認証による打刻も、機械が時刻を記録し、後から人が書き換えられないよう管理者権限で保護できるという点では、これらと同じ性格の記録です。当社製品では管理者ID+パスワードにより、管理者以外が打刻データを編集できないよう制限できます。
法令・ガイドラインの適用や自社の運用が要件を満たすかどうかの最終的な判断は、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。この記事は一般的な整理であり、個別の法的助言ではありません。
五方式の比較表
| 項目 | 紙のタイムカード | ICカード | クラウド勤怠 | 指紋認証 | 顔認証(当社製品) |
|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 本体1〜3万円台 | 本体2万〜16万円程度 | ほぼ不要 | 本体5千円〜3万円台 | 端末代(機種による) |
| ランニング費用 | 用紙・リボン代 | カード発行費 | 1人あたり月額 | なし | なし |
| 打刻に必要なもの | カード | カード・社員証 | ID・端末 | 指(センサーに接触) | 顔 |
| 導入時の登録 | カード配布 | カード発行・配布 | ID発行 | 全員が指をセンサーに登録 | 顔写真の取り込みでも可 |
| 設置・保管スペース | 本体+カードラック+過去のカードの保管 | 端末1台(カードは各自が携帯) | 設置不要(各自の端末) | 端末1台 | 端末1台 |
| 代打刻 | 起こりうる | 起こりうる | 起こりうる | 起こりにくい | 起こりにくい |
| 集計 | 手作業 | 機種・ソフトによる | 自動 | 機種・ソフトによる | 端末内で自動+Excel帳票出力 |
| 給与ソフト連携 | なし | 製品による | あり | 製品による | 直接連携なし(Excel帳票を加工) |
| 遠隔での確認 | 不可 | 製品による | 可能 | 製品による | 同一LAN内のみ |
| データの保存先 | 紙 | 機器内・社内PC(クラウド型は事業者のサーバー) | 事業者のサーバー | 端末内・社内PC(クラウド型は事業者のサーバー) | 端末内 |
紙・ICカード・クラウド・指紋の各項目は一般的な傾向であり、製品やサービスによって異なります。本体価格は2026年9月時点で価格比較サイト等に掲載されている実売価格の幅で、ICカードはPCに接続して使う簡易な機種から集計ソフト込みの一体型まで幅があります。顔認証の欄は当社の顔認証タイムレコーダー7機種の仕様です(認証速度 約0.3秒/登録可能人数 最大20,000人/通信方式 有線LAN・Wi-Fi/データ出力 Excel帳票/保証期間 1年間の国内保証)。
顔認証が向くケース/向かないケース
向いているケース
- 出社して打刻する現場が中心で、人数がある程度いる。月額のない方式のほうが、年数が経つほど有利になります。
- 毎日の打刻を短く済ませたい。認証は約0.3秒です。カードを探す動作がなく、指の状態による読み取り直しも起きないため、朝の打刻が集中する時間帯でも1人あたりの所要時間が短く済みます。
- 代打刻をなくしたい。カードやIDの貸し借りが構造的にできなくなります。
- 勤怠データを社外に出したくない。端末内と社内LANで完結します。
- カードの発行・再発行の管理をやめたい。持ち物が不要になります。
- 手袋の着用や水仕事が多い現場。指紋認証と異なり、認証そのものは指の状態や手袋に左右されません(打刻区分を選ぶ操作では画面に触れます)。
向いていないケース
- 給与ソフトとの自動連携が前提。API連携・CSV出力に対応していないため、要件を満たせません。
- 在宅勤務・直行直帰が多い。端末の前に立つ必要があるため、出社しない働き方には使えません。
- 本社から全拠点の勤怠をリアルタイムに見たい。Web管理画面は同一LAN内からのみアクセスできます。
- ごく少人数・短期間の利用。総額では月額制のほうが小さくなることがあります。
- 初期費用をできるだけ抑えたい。生体認証で機器代を最小にしたい場合は、指紋認証のほうが安価です。指の状態による読み取り失敗が許容できるかが判断の分かれ目になります。
自社がどちらに当てはまるか判断しづらい場合は、現在の打刻方法と人数、打刻場所の数をお知らせいただければ、適否も含めてお答えします。機種の絞り込みについては顔認証タイムレコーダーの選び方をご覧ください。設置場所が決まっていない段階でまず試すなら卓上に置けるFAD-D55、入口に固定して使うなら壁掛け型のBRD-WS-BDTRが出発点になります。7機種すべての仕様と価格は顔認証タイムレコーダーの商品一覧でご確認いただけます。



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FaceSec Japan株式会社は、東京を拠点に顔認証タイムレコーダーと顔認証入退室管理システムを企画・販売しています。いずれの製品も、構内LAN内のWeb管理画面から設定・運用する構成です。
設置環境に合わせた機種選定、既存の勤怠・入退室運用との整合、電気錠との接続可否などは、機種ごとに条件が異なります。導入前のご相談は日本語で承ります。
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